長寿命の外壁塗料の営業を受けました。
ノーメンテで何年いけますか?
外壁塗装の訪問販売で、こういう営業トークがあるそうです。「超長寿命塗料なので、これなら20年、30年はメンテナンスフリーになります」と。そ、それは凄いですね!
ノーメンテでいけるのは
だいたい10年ですかね^^
それって普通の外壁塗料の塗り替えタイミングじゃない?高耐久の塗料の意味がないじゃない!と思った方、その通りです。
長寿命の外壁塗料なんて嘘だぞと言っているわけではありません。
ただ、ノーメンテで何年いけるかということなら、やっぱり10年だろうなと思います。
塗膜だけ強くてもあまり意味がない
屋根や外壁を定期的に塗り直す目的は、主に撥水性を保持するためです。家の内部にカビ、腐食、歪み、虫害をもたらすのは水だからです。
高耐久が売りの外壁塗料は、塗膜の粘りや強靱さを追求した商品です。しかし、それだけでは家は守れません。
水は面と面との繋ぎ目からも入ってくるからです。
窓枠と壁の隙間、サイディングボードの繋ぎ目には、弾性と撥水性のあるシール材が充填されています。たくさんの家を見ていると、塗装がひび割れたり剥がれたりするよりも、ここが先に傷んでいるケースが多いのです。
いくら塗膜が水を弾いても、その横に隙間が空いていたら意味ないですよね。
超長寿命のシール材があれば、あるいは……?
長寿命の塗料だけではなく、絶対に剥がれず、痩せず、劣化しない長寿命のシール材があれば水は入ってこないのかもしれません。しかし、これはかなり難しいでしょう。
柱や梁といった家の構造体は、多かれ少なかれ歪むものだからです。
時間をかけて素材自体が変質したり、地盤が沈下したり、地震の力を受けたりと、歪む要因は色々あります。
特に、日本の場合は地震の影響が大きいです。揺れを感じる地震(震度1以上)は、一年に1,000回から2,000回起きます。日本には地震リスクのない地域はありません。
あなたのお住まいの地域でも、震度3以上の地震が年に一回は普通にあるのではないでしょうか。
シール材は、毎年毎年、この物理的な引っ張りに耐えています。むしろ、10年持つのは大したもんだと思います。
「長く持つ」とは何のことなのか
上のことだけとっても、「スーパー長寿命の塗料なので、10年ごとのメンテナンスが要らなくなります」という宣伝は嘘になります。現場に出ているプロだったら、誰でもわかることです。
塗膜が強いのが真実でも、長持ちするのは塗膜であって家ではないのなら、わざわざその塗料を選ぶ理由がありません。「メンテナンスフリーにはなりません。しっかりメンテはしてください」と説明してくれる業者さんならいいと思いますが、そうでないなら意図的に誤解を招いているとしか思えません。
本当にお客さんのことを考えた言葉ではないし、詐欺でなくても不誠実ですよ。何だか腹が立ってきました(笑)。
当たり前ですが、塗料の効果が発揮できるかどうかは家にもよります。
極端な例を挙げると、この写真の家。
これにスーパー長寿命の塗料を塗って綺麗にしたとします。
失礼な話、30年先も何のトラブルも起きないとは思えませんよね?塗料で何でも解決できるわけないです。塗膜が強靱でも家が持たないことなんて、いくらでもあります。
家の外側は、色んな箇所が傷みます
家は塗装だけが傷むわけではありません。
屋根なら、スレートや瓦のずれや割れ、釘抜け、カビや苔、屋根材の反り、漆喰の剥がれ、針金の切れなどが起こります。
外壁なら、塗り壁のひび割れ、サイディングボードの反り、カビや苔やツタ、内部の結露など。
雨樋は割れたり歪んだりしますし、玄関ポーチやデッキのタイルが知らない間に欠けていることもあります。
当社が現地調査をする時は、塗装だけではなく家全体をじっくり見るので、実際こういった損傷をけっこう見つけます。
足場を組んで屋根まで登らないと見えない場所が多いので、報告するとオーナーさんは驚かれますし、とても喜んでくれます。
塗料の強度だけで考えないようにしてください
定期的な外壁塗装は、エクステリアの総合点検という意味合いもあります。だから、塗料の営業トークがどんなに凄くても、慎重に検討してください。
20年、30年メンテナンスフリーというのはありえません。
だいたい10年単位で外壁塗装をしましょうというのは、塗装屋さんが食いっぱぐれないための方便ではないんですよ……。
ただ、必ず10年で塗り直さないと大変なことになるぞ!なんてのも嘘だと思います。そんなことありません。よければこちらのページもご覧ください。
→「本当にみんな10年で塗り替えてるんですか? 」
以上、喜多がお答えしました!
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