外壁に繁殖した苔を自分で取る方法

Q.

外壁に繁殖した苔を
自分で取る方法はありますか?

苔の掃除は、それほどやっかいではありません。外壁が緑色に着色したように見える苔は、洗剤とブラシで落とすことができます。専用洗剤を使ってもいいでしょう。

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外壁の苔

意外と簡単に落ちます。
低いところなら自分でやってみましょう!

簡単に落ちると言ってしまいましたが、苔にも種類があります。ここで言うのは、上の画像のように外壁が緑色に着色したような苔を指していると思ってください。
モルタルやサイディングの外壁に生える苔は、ほとんどがこのタイプです。

こんもり茂っている場合は、まずスクレーパーなどで剥がす作業が必要になりますが、一軒家のモルタルやサイディングに、神社の石段のような苔が生えることはほとんどありませんので今回は除外します。

植物(苔・藻)か、カビかを判断しよう

外壁に生えている緑色の物体ならだいたい苔ですが、黒っぽい苔もありますし、苔が枯れた状態で茶色になることもあります。そうなると、遠目にはカビと見分けが付かない場合もあります。

外壁に取り付くこれらは、大きく三つに分類できます。

  • 1 苔
  • 2 藻
  • 3 カビ

除去の仕方はどれもほとんど同じですが、何が生えていたのかによって、後の対処法が変わります。
いきなり掃除せずに、原因が何だったのかを知っておきましょう。

外壁の黒い苔

たとえばこの黒い物体。ぱっと見はカビのようにも見えます。
とっても簡単な見分け方は、近づいてよく観察すること……。

外壁の黒い苔(アップ)

おそらくこれは、苔か藻です。私たちは植物学の専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、「見ればわかる」ことがほとんどです。
みなさんもなんとなーく「植物っぽいな」と思いませんか?雑ですみませんね~!

よくわからない場合は、外壁の立地条件で見分けます。
苔や藻は植物なので、光を必要とします。
しかし、カビは菌類なので光を必要としません。
日光が当たる場所なら植物(苔・藻)、当たらない場所ならカビの可能性が高いです。

緑色の外壁

こちらのお宅の写真では、奥の壁が緑色になっています。光があたる場所で、なおかつ湿気が溜まりやすい場所に苔が生えます。

自分で苔・藻を取れるのは、手が届く範囲だけ

前提として、手が届く範囲の作業とします。
高所の作業の場合は、ご自身でやるのを諦めてください。脚立を使っての作業は特にいけません。
理由はこちらの記事にまとめました。
→「外壁にツタが繁殖しています。自分で取る方法はありますか?

手が届かないところの掃除は、プロに依頼してください。
足場を組む必要があるので高額になります。外壁塗装、修繕などと合わせて行うことをお勧めします。

自分で取るなら、ブラシと中性洗剤で

水洗いだけでもかなり苔は落とすことができます。ホースで壁に水をぶっかけて、ブラシで擦ってみましょう。
ブラシは、握りやすく硬すぎないものなら何でもかまいません。
硬いものは傷が付きます。洗車用、お風呂用などが良いでしょう。

洗車用・お風呂用ブラシ

落ちにくいようなら、食器用洗剤を使います。バケツに洗剤を溶いた水を用意しておき、ブラシにつけながら擦ります。
界面活性剤の働きで落ちやすくなります。

苔専用洗剤の実力は?

専用洗剤をホームセンターやAmazonで買うこともできます。「墓石用洗剤」とあるものも、主に苔を落とす効果を狙った商品です。これらを試してみてもいいでしょう。
一番上の写真にあるような薄い緑の苔なら、けっこう効果があります。
ただし、「スプレーするだけで擦らず落ちる」という商品はちょっと誇張だと思います。スプレーするだけで苔が物理的に消える(溶ける)ような強力な薬剤は、市販できません。
「スプレーするだけで苔が枯れる」はありえます。薄い苔は擦り落としてしまえばいいので枯らす工程は要りませんが、しつこい苔の場合は剥がしやすくなると思います。

苔専用洗剤の選び方

農薬は大きく二種類あり、全部の植物を枯らすタイプ、特定の植物を枯らすタイプがあります。
後者のタイプは、薬剤の種類が本当に多いです。作用機序によっても薬剤が異なるので、「○○入りと書いてあるものがいいですよ!」と簡単に言えません。厳密には、苔の種類ごとに薬剤が違うはずだからです。

ひとつ言えるのは、塩素系のものは避けるべきだということです。
外壁が変色する可能性があります。

やらない方がいいこと

  • ・熱湯、ハイター、塩、酢をかけること
  • ・高圧洗浄機で掃除すること

昔から、熱湯、ハイター、塩、酢は雑草を枯らすために有効と言われていますが、おすすめしません。

熱湯はすぐに冷めてしまうのでほとんど効果がありません。地面の雑草に対しても効果がないので、すぐに流れ落ちてしまう壁であればなおさらです。また、火傷の恐れがあるのでやめましょう。

ハイターは、次亜塩素酸ナトリウムでできています。上に述べた「塩素系」の代表格です。アルカリ性が強く、漂白作用があるので外壁を傷めてしまいます。

塩も外壁を傷めるので使ってはいけません。

酢は、アクアリウムをやっている方にはお馴染みの方法です。食用酢、木酢液、クエン酸を使って苔を除去するのはよくある手です。ですが、外壁のように広範囲の場所に使うのはあまり適さないでしょう。
アクアリムで苔の除去に酢を使うのは、枯らしたくない水草と、枯らしたい苔が水槽内に混在しているためです。魚に影響が少ない酢を、苔にだけ塗ることで苔を減らします。外壁の苔を除去するなら、食器用の中性洗剤で擦った方が早いです。

家庭用の高圧洗浄機でも、外壁が傷んでいる場合は傷を増やしてしまうのでおすすめしません。

プロはどうやって落とすか

プロも、軽微な苔なら作業としては同じです。水、洗剤、擦る。以上。
高所作業ができること、外壁の状態を見極められるのがプロに依頼するメリットです。

プロは、頑固な苔には業務用の高圧洗浄機を使うこともあります。必要なら、業務用のバイオ洗剤を使用します。
ただし、高圧洗浄機は威力が強すぎるので、外壁が傷んでいる場合は腐食した部分まで剥がれたり、最悪の場合は外壁にヒビが入ることがあります。
闇雲にやっていいことではありません。
往々にして、苔が繁殖しているということは外壁が傷んでいることなので、まずは外壁の診断をし、適切な対処法をアドバイスいたします。

残念ながら、苔は再発します!

苔も藻もありふれた植物なので、風にのって胞子がやってきて定着してしまえば元の状態に戻っていきます。定着させないようにすることが大事ですね。
苔の予防については、こちらにまとめました!
→「苔を生えにくくする方法はないのでしょうか?

以上、和田がお答えしました!

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