外壁にツタがたくさん繁殖しています。
自分で取る方法はありますか?
公開日: 2019年12月12日 / 更新日: 2025年08月04日
ツタは外壁を痛めるので、できれば早めに取ってください。自分でやればタダ!それはそうなんですが、おすすめしません。理由はいろいろありますが、まずは命の危険が…


危ないのでやめてください。
はしごから落ちて毎年約30人が死にます。
承知しました!自分で外壁のツタを取る方法を説明します!
1 まずは安全な足場を組みます
単管と言われるパイプの足場ではダメですよ。渡し板のある足場でないと作業できません。土地が水平でなかったり、家の形が不定型な場合は、それに合わせて足場を設計しましょう!
2 ツタを手で取り除きます
ツタ植物は、茎の途中からも根を出します。これを気根と言います。気根が強烈に外壁に食い込んでいるはずなので、めげずに取りましょう。幅広のスクレーパーがあると便利ですよ!
3 高圧洗浄機で洗い流します
業務用の高圧洗浄機で、残った気根やツタによる汚れを洗い流します。家庭用の高圧洗浄機では圧力が足りないので、業務用をご購入ください。だいたい一台50万円から100万円で購入できます!
わーい。完成~!
できるかいっ!と思った方はお電話ください(*・ε・*)
高圧洗浄機以外にも!ツタ除去に役立つ道具
外壁に張り付いたツタを除去する作業は、想像以上に根気と、そして適切な道具が必要です。
高圧洗浄機は、最終的な清掃には有効ですが、その前段階で、太くなった幹や、壁に食い込んだ根を取り除くためには、以下のような道具が役立ちます。
枝切はさみ
ツタの除去作業は、まず、壁に張り付いているツタの「根元」を断つことから始まります。
地面から伸びている、太い幹の部分を、園芸用の枝切りはさみで切断します。
これにより、ツタへの水分の供給を止め、枯れさせるための第一歩となります。
切れ味の良い、丈夫なはさみを用意しましょう。
高枝切バサミ
手の届かない、2階部分や屋根の近くまで伸びてしまったツタを切断する際に、非常に役立つのが高枝切りバサミです。
脚立などを使った不安定な高所作業は、転落の危険性が極めて高いため、できる限り、地面に足がついた状態で作業を行うことが、安全確保の基本です。
ただし、電線などが近くにある場合は、感電の恐れがあるため、絶対に使用しないでください。
鎌
ツタの根元を切断し、枯れてきた後、壁から大まかにツタを剥がしていく作業に、鎌が有効な場合があります。
鎌の刃を、壁とツタの隙間に差し込み、テコの原理を利用するようにして、慎重に剥がしていきます。
この際、勢い余って、外壁材そのものを傷つけてしまわないよう、細心の注意が必要です。
長尺ヘラ
壁面に、こびり付くように残ってしまった、ツタの細かな根(付着根)や、跡を除去する際に使用します。
スクレーパーや、皮スキと呼ばれる、金属製のヘラが適しています。
壁の表面を、削るように、根気よくこそぎ落としていく作業になります。
ただし、この作業は、外壁の塗膜や、素材自体を傷つけてしまうリスクが非常に高いため、慎重の上にも慎重を期す必要があります。
除草剤
壁面のツタを除去しても、地面に根が残っている限り、ツタは再び、驚くほどの生命力で再生してきます。
再発を防ぐためには、切断した根の切り口に、刷毛などで強力な除草剤を直接塗布し、根を根絶やしにする「根絶処理」が必要です。
ただし、除草剤は、他の大切な植栽を枯らしてしまったり、土壌に影響を与えたりする可能性もあるため、使用には専門的な知識と、細心の注意が求められます。
外壁のツタを除去しないでおくとどうなる?
「見た目が好きだから」「緑のカーテンになって涼しいから」と、外壁のツタを、そのままにしているお住まいを見かけることがあります。
しかし、その美しい景観の裏側では、建物にとって、非常に深刻なトラブルが、静かに進行しているのです。
外壁の通気性が悪くなる
ツタが壁面をびっしりと覆うと、外壁と外気との間の、空気の流れが完全に遮断されてしまいます。
これにより、壁の内部に湿気がこもりやすくなり、結露や、カビの発生原因となります。
カビは、アレルギーなどの健康被害を引き起こすだけでなく、壁の内部にある断熱材を劣化させ、建物の断熱性能を著しく低下させてしまいます。
また、湿った木材は、シロアリなどの害虫を呼び寄せる原因にもなります。
参考記事:外壁に繁殖した苔を自分で取る方法
火災や自然災害で被害が拡大する
壁一面に生い茂ったツタは、火災の際に、炎が燃え広がるための、格好の「導火線」となってしまいます。
瞬く間に、炎が建物全体を包み込み、被害を拡大させる危険性があります。
また、ツタは、その吸盤のような根で、外壁材の隙間や、ひび割れに、強力に食い込んでいます。
地震や台風の際には、そのツタが、外壁材を一緒に引き剥がしてしまい、壁の崩落に繋がるケースも報告されています。
近隣トラブルになる
ツタの生命力は非常に強く、ご自身の敷地内だけに留まってくれるとは限りません。
成長したツタが、お隣の家の壁や、フェンス、あるいは電線などに侵入し始めると、深刻な近隣トラブルの原因となります。
隣家の外壁を傷つけてしまったり、景観を損ねたりすることで、損害賠償問題に発展する可能性もゼロではありません。
植物は、境界線を越える、という意識を持っておくことが大切です。
参考記事:外壁塗装のストレス原因と対策法7選|臭い・騒音・洗濯物など
転落事故が、なくならない
少々真面目な話をします。
外壁のツタをご自身で取るのは、第一に危険なのでやめてください。
(地面から出たばかりのかわいいツタならOK。これは高所の話です)
一般の方が足場を組むことはないでしょうから、間違いなく脚立で挑戦するはずです。
身近な物なのでピンとこないかもしれませんが、実は脚立は使い方が難しい上に、大変危険な道具なのです。
厚生労働省によると、労働災害による死亡事故原因の1位が「墜落・転落」。
平成30年度の調査結果では、256人が亡くなっています。
また、21,221人の方が休業4日以上の死傷災害を受けています。
「墜落・落下」のシチュエーションで最も多いのが、はしご等(はしご、脚立、作業台)からの落下です。
はしご等から転落して亡くなる方は、だいたい毎年30人弱です。これ、労災のデータなので一般の方は含まれていません。プロですらこの数字ですからね……。
●平成30年の労働災害発生状況を公表/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04685.html
高い場所で慣れないツタ取りをするのは、ちょっと電球を替えるとか棚の上の物を取るといった動作とは危険度が違います。絶対にやめましょう。
手では完全に取れない
ツタの気根というのは、こんなものです。Wikipediaに投稿された「あおもりくま」さんの画像をお借りしました。
なかなかにしてグロ……違った、生命力溢れる姿ですよね。
ツタの繁殖力の正体はこれです。茎の途中からどんどん気根を出し、新しい茎を伸ばしていきます。気根はしっかり食いついているので、簡単には剥がれません。
スクレーパーでガリガリやると、下の塗料まで剥いでしまいます。
どうせ塗り直す前提だとしても、凹凸のある塗装面をそのまま塗ると仕上がりも凹凸になってしまいます。
そこで下地を平らにならす作業が発生します。これが大変。
最初から塗装面に大きな傷は付けないのが得策です。
塗装のタイミングでやれば、足場代が浮く
広範囲・高所にツタが繁殖した場合は、足場がないと完全除去はできません。
足場を何度も組むと、それだけでバカバカしいほど費用がかかるので、「外観に関わる工事はまとめて」が賢い方法です。
外壁に茂ってしまったツタは、それだけ取っても汚れが残ることがほとんどなので、塗装して綺麗にする方が多いですよ。
外壁塗装のタイミングで、ツタの撤去もプロにお任せください。
以上です!喜多建設の平林がお答えしました!
まとめ
今回は、外壁に繁殖したツタの危険性と、その除去方法について解説しました。
この記事でお伝えしたように、外壁のツタは、見た目の美しさとは裏腹に、雨漏りや、外壁の劣化、害虫の発生、そして火災時の延焼リスクなど、お住まいの資産価値と安全性を脅かす、多くの深刻な問題を引き起こします。
ご自身で除去を試みることも、低い場所であれば可能かもしれません。
しかし、高所での作業には、常に転落という、命に関わる危険が伴います。
そして何より、無理に剥がそうとすることで、外壁材そのものを傷つけてしまい、かえって補修費用が高くついてしまうケースが、後を絶ちません。
監修者
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喜多 史仁
株式会社喜多建設 代表取締役社長
<略歴>
高等学校を卒業後に、2代目有限会社喜多塗装店(株式会社喜多建設の前身)に塗装見習いとして入社。その後、大手自動車メーカー子会社を経験し、2000年に3代目有限会社喜多コーポレーションに職長及び取締役として入社。
2007年に社名を株式会社喜多建設に変更を機に代表取締役に就任。
埼玉県狭山市・川越市・所沢市を中心に地域に密着した外壁塗装を強みとしています。<喜多建設のこだわり>
喜多建設では、不安や疑問を持った状態で外壁塗装をすることがないようにお客様への丁寧なご説明をモットーとしております。
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