オリジナル塗料って何なんですか?
普通の塗料よりいい塗料なんですか?
公開日: 2019年12月12日 / 更新日: 2025年08月04日
「うちはオリジナル塗料を使えます」というセリフを、外壁塗装の営業マンがよく言うそうです。最近の塗料は化学技術の塊です。簡単に作れるものではないのですが……。


塗料メーカーのOEM商品です。
これを選ぶメリットは特にないです。
これは、訪問販売の外壁塗装の営業マンや、ハウスメーカーのメンテナンス担当の営業マンが言う「オリジナル塗料」のことでしょうね。
オリジナルと聞くと、よそでは手に入らない感じ、何だか特別な感じがしますよね。
オリジナル塗料とは、その「感じ」を狙うために作ったOEM商品です。
オリジナル塗料とは
まず、塗装業者が「オリジナル塗料」として提案してくるものには、大きく分けて2つの種類があることを理解しておく必要があります。
OEM塗料
「オリジナル塗料」として市場に存在するものの、そのほとんどが、この「OEM塗料」に該当します。
OEMとは、「Original Equipment Manufacturer」の略で、あるメーカーが製造した製品を、別の会社のブランド名で販売する手法のことです。
つまり、塗装業者が提案するオリジナル塗料の多くは、その塗装業者自身が一から開発したものではなく、既存の塗料メーカーが製造した塗料のラベルを、自社のオリジナルブランド名に貼り替えて販売している、ということです。
中身は、大手メーカーが製造している既存の塗料と、同じか、あるいは少しだけ仕様を変更したもの、というケースがほとんどです。
偽装塗料
こちらは、非常に悪質なケースです。残念ながら、ごく一部に、このような手口を使う業者が存在することも事実です。
これは、元々安価なノーブランドの塗料や、グレードの低い塗料を、別の缶に詰め替え、「自社開発の高性能なオリジナル塗料です」と偽って、高額で販売する手口です。
中には、大手メーカーの有名な塗料の缶を再利用し、中身だけを入れ替える、といった悪質なケースもあります。
もちろん、これは完全な詐欺行為であり、もし遭遇した場合は、契約をせず、すぐに行政の相談窓口などに連絡すべき事案です。
オリジナル塗料ができた背景
では、なぜ、多くの塗装業者が、わざわざ自社の「オリジナル塗料」を作りたがるのでしょうか。
その背景には、塗装業界が抱える、ビジネスモデル上の課題があります。
競合他社との差別化
外壁塗装を検討するお客様は、必ずと言っていいほど、複数の業者から「相見積もり」を取ります。
その際、もし全ての業者が、同じ大手メーカーの、同じ塗料で見積もりを提出した場合、お客様が比較するポイントは、どうしても「価格」だけになりがちです。
そこで、業者としては、「うちでしか扱えない、特別なオリジナル塗料」を提案することで、単純な価格競争を避け、自社の独自性や付加価値をアピールしたい、という狙いがあります。
他社との比較が難しくなるため、価格交渉の主導権を握りやすくなる、という側面もあるのです。
塗装業界のビジネスモデルの変化
かつては、塗装業者が、メーカーから直接塗料を仕入れることは難しく、問屋を通して仕入れるのが一般的でした。
しかし、近年では、メーカーが、研修を受けて認定した施工店に対して、直接塗料を販売する、というビジネスモデルが増えてきています。
この仕組みが、さらに一歩進み、メーカーが特定の塗装会社のためだけに、プライベートブランドの製品(OEM塗料)を製造・供給する、という動きが活発化してきました。
これにより、中小の塗装業者でも、比較的容易に「自社オリジナル塗料」を持つことが可能になったのです。
オリジナル塗料をおすすめできない理由
「オリジナル」と聞くと、何か特別な価値があるように感じられるかもしれません。
しかし、私たち塗装のプロフェッショナルの視点から見ると、お客様が、あえて素性の知れないオリジナル塗料を選ぶことには、多くのリスクが伴い、積極的におすすめすることはできません。
参考記事:【外壁塗装】失敗しない塗料の選び方や種類別の特徴について
耐用年数や性能の信頼がない
大手塗料メーカーの製品は、長年にわたる研究開発と、全国の様々な環境下での豊富な施工実績に裏打ちされた、客観的なデータが存在します。
その耐用年数や性能は、信頼性の高いものです。
一方、オリジナル塗料の場合、「耐用年数25年」などと謳われていても、その根拠となる客観的なデータや、長期にわたる実績が、十分に開示されていないケースがほとんどです。
その塗料が、本当に謳われている通りの性能を発揮するのか、誰にも保証することはできません。
大切な住まいを、信頼性の不確かな塗料で塗りつぶしてしまうのは、あまりにもリスクが高いといえるでしょう。
妥当な価格かを判断できない
オリジナル塗料は、その業者でしか扱っていないため、市場での適正な価格相場というものが存在しません。
業者が提示する価格が、その性能に見合った、妥当なものなのかどうかを、お客様自身が判断することは、極めて困難です。
もしかしたら、中身は一般的なシリコン塗料と大差ないのに、名前を変えただけで、高価なフッ素塗料並みの価格が設定されている、という可能性も否定できません。
相見積もりを取っても、塗料が違うため、単純な価格比較ができず、結果的に、割高な契約を結んでしまうリスクがあります。
施工実績が少ない
大手メーカーの塗料であれば、その塗料の特性や、最適な塗り方、乾燥時間といった、標準的な施工仕様が、全国の多くの職人に共有されています。
しかし、オリジナル塗料の場合、その施工実績は、その業者一社に限られます。
その塗料の本当の性能を、100%引き出すための、最適な施工ノウハウが、十分に蓄積されているとは限りません。
万が一、施工不良が起きた際に、その原因が、塗料自体の問題なのか、それとも施工技術の問題なのかの切り分けも、難しくなってしまいます。
塗料は、そんなに簡単に作れません
なぜOEM商品だと言ってしまえるかというと、塗料は一朝一夕に作れるものではないからです。
大昔のペンキは、3つの材料を混ぜて作りました。
塗膜となる樹脂、色を付ける顔料、それを溶かして安定させる有機溶剤です。
しかし、今の塗料はそんなに単純ではありません。
求められる性能が増えているので薬剤の添加も必要ですし、樹脂の種類も増えています。
VOC対策のため、有機溶剤系より製造が困難な水系塗料に移行しているので、混ぜるだけでは商品になりません。
ある塗料メーカーさんに聞きました。
その会社では防かび機能の高い屋外木部用塗料を売っています。ただ防かび剤をぶち込んでると思ったら、とんでもない!
薬剤は、小さな穴の開いたマイクロカプセルに入っているのだそうです。
こうすると薬剤効果が長期間維持する上、触れても人体への影響がないのだとか。
このカプセルはシリカでできています。シリカって何かわかりますか?私はわかりません(笑)。
目に見えないサイズのカプセルに、薬を詰める方法は想像もつきません。
結論。塗料メーカーは次元が違うってことです。
こういう化学技術を、一介の塗装屋さんとか門外漢のハウスメーカーが持っているとは到底思えないです。
参考記事:塗料は危険?!人体への影響や外壁塗装時の臭いを防ぐ方法とは?
普通の塗料より、こだわりがある塗料??
OEMで何がいけないの?塗料メーカーに特注で作らせた塗料なら「普通の塗料よりいい塗料」かも?という意見もありますね。
これは、ありえないと思います。
塗料は、美容成分を贅沢に使ったので効果抜群とか、じっくり煮込んだから美味しいとか、有名デザイナーを起用したのでオシャレ……という風にオリジナルを作れる製品ではありません。
たとえば、耐久性は樹脂の種類でだいたいきまっています。
防汚剤や防かび剤などの薬剤は、好きなだけ入れられるものではありません。
ある程度の性能の製品やバリエーションは、もう世に出ていると考える方が自然ではないでしょうか。
だいたいから、最高品質の塗料はメーカーブランドで出すに決まってます。
もし、喜多建設がこういうオリジナル塗料をOEMで作ったとします(嘘広告とわかるように嘘っぽくしてますよ)。
ラベル貼っただけのこれが、本家より優れているなんてありえないと思いませんか?
ハウスメーカーが塗料メーカーに数億円積んで「絶対に10年コケが生えない塗料を作れ」みたいなお題で開発させるなら、あるいは可能なのかもしれません。
でも、そういう話なら報道されるんじゃないでしょうか。
オリジナル塗料に、メリットは特にありません
OEMだから品質が悪いという話ではありません。
塗料メーカーさんは、メーカーブランドでも他社ブランドでも、しっかりした製品を作ってくれていると思います。
ただ、ことさらそれを選ぶ理由が見つからないという話です。
(繰り返しますが、本当にオリジナル要素のある塗料なら違いますよ!)
オリジナル塗料を選ぶ唯一の必然性は、色でしょうか。
新築時にハウスメーカーのオリジナル塗料で塗っていて、どうしても寸分違わず同じ色で塗りたい!という方ならそれを選ぶといいですね。
以上です!喜多建設の平林がお答えしました!
監修者
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喜多 史仁
株式会社喜多建設 代表取締役社長
<略歴>
高等学校を卒業後に、2代目有限会社喜多塗装店(株式会社喜多建設の前身)に塗装見習いとして入社。その後、大手自動車メーカー子会社を経験し、2000年に3代目有限会社喜多コーポレーションに職長及び取締役として入社。
2007年に社名を株式会社喜多建設に変更を機に代表取締役に就任。
埼玉県狭山市・川越市・所沢市を中心に地域に密着した外壁塗装を強みとしています。<喜多建設のこだわり>
喜多建設では、不安や疑問を持った状態で外壁塗装をすることがないようにお客様への丁寧なご説明をモットーとしております。
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