高額な外壁塗装の契約をしてしまいました。クーリングオフできますか?
深夜のテレビ通販の筋トレグッズみたいに、その場で盛り上がって購入したけど、翌朝我に返ることってありますよね。外壁塗装の場合、解約するには条件があります。
訪問販売ならできます。それ以外はできません
今回の質問は簡単です。一行で回答できました。
でも、詳しく説明するとちょっと長い話になります。
外壁塗装の契約をして、あとで相場を調べたら高額でビックリ!やっぱりやめたい!となった場合、クーリングオフできる契約とできない契約があります。
クーリングオフとは、その名の通り、頭を冷やして考えなおすという意味です。
クーリングオフは、契約した日を含めて8日以内(例外あり)なら、消費者側が一方的に契約を解除できるという制度です。
悪徳業者から消費者を守るために作られました。
クーリングオフ制度が適用される条件
クーリングオフが適用できるのは、以下の取引契約です。外壁塗装の場合は、上の条件のうち当てはまるものが「訪問販売」しかありません。
- ・訪問販売(自宅に訪問して契約させるセールス)
- ・電話勧誘販売(電話で勧誘して契約させるセールス)
- ・連鎖販売取引(顧客を販売員として次の顧客に販売員の勧誘をさせる取引)※
- ・特定継続的役務提供(エステ、英会話スクール、結婚紹介所、学習塾など)
- ・業務提供誘引販売取引(仕事の提供を口実に、仕事に必要として商品を販売する)※
- ・訪問購入(自宅に訪問して物品を購入する取引。いわゆる出張買取サービス)
※印のある取引のクーリングオフ期間は20日間。それ以外は8日間。
自分で業者を招いたら、クーリングオフできない
訪問販売は、業者が自宅に訪問して契約した場合を指します。
アポなし訪問でも事前に電話アポがあっても、訪問してきた場合は訪問販売です。
ただし、チラシを見て電話した、ウェブサイトを見て問い合わせをした、というように、最初のアクションが自分からだった場合は、訪問販売にはなりません。
自分で業者を自宅に呼んだ場合は、自分が業者の事務所に行って契約したのと同じように、対象外となります。
訪問販売には、キャッチセールスやアポイントメントセールスも含まれます。
キャッチセールスとは、路上で呼び止めてそのまま契約場所に同行して契約させること。同行先が自宅でも、業者の事務所でも訪問販売です。
アポイントメントセールスとは、電話やはがきで「抽選に当たりました」「アンケートに答えて旅行が当たる」のように、販売目的であることを隠して客を呼び出すことを指します。
勝手に諦めず、まずは契約相手に申し出る
まずは契約相手に、契約の解消を申し出て受け入れてくれるか確認しましょう。
クーリングオフ制度の対象外サービスでも、話を聞いて「販売員の説明が不十分だったので受け入れます」と言ってくれる会社、自主的に「○日まで」とクーリングオフを受け付けている会社もあります。
もし相手が悪徳商法の集団だったとしても、「契約したからには裁判に持ち込んででも払ってもらうぞ!」という態度に出るかどうかはわかりません。
法的なトラブルは、意外と消耗戦になるからです。厄介な一人と喧嘩をするより、次のカモを三人探した方が効率がいいでしょうしね……。
期間を過ぎてもクーリングオフできる場合
法定期間を過ぎても、相手の説明や書類に不備があればクーリングオフできます。
- ・クーリングオフが可能であることが書類に記されていない
- ・クーリングオフが可能であることは書類に記されているが、文字が小さすぎる
- ・そもそも契約書がない
- ・業者が「この取引契約は、クーリングオフの対象外だ」と嘘をついていた
クーリングオフの対象である取引をする場合は、書類にその旨を記載することが義務づけられています。米つぶみたいに小さな文字で書いてある場合は無効です。
法令で、この文字の大きさは8ポイント以上と規定されています。※
8ポイントは、2.82mmです。
加工食品品質表示基準で決められている最小文字サイズも8ポイントなので、いろいろな加工食品の原材料名のところを見ると、8ポイントのサイズの目安になります。
けっこう大きいですよね。
※表示面積が確保できるパッケージの場合。パッケージ面積が小さい場合は5.5〜7.5ポイントの使用が認められます。
工事が始まっていてもクーリングオフできる!
意外に思われるかもしれませんが、着工後でもクーリングオフはできます。
もっと言えば、工事が完了していてもクーリングオフは適用されます。
業者が開き直って「もう着工しているのに、クーリングオフできるわけないだろう!」と言ってきたとしても問題ありません。それは嘘です。
ですから、訪問販売で契約をとる業者の中には、契約しても8日間は着工しないところもあるそうです。もし着工したあとにクーリングオフされたら、業者は自腹で元に戻す責任があるためです。
クーリングオフ対象なのに受け付けてもらえない場合
消費生活センターか、国民生活センターに相談しましょう。
違いは運営母体というだけで、情報は共有されています。
まずは消費生活センターへの連絡がいいでしょう。理由は、その地域で多く発生している詐欺事件、悪徳商法などに詳しいと思われるからです。
消費生活センターは、消費者の相談窓口です。都道府県や市区町村が運営しています。全国に800箇所以上あります。開所時間は自治体によって異なります。
国民生活センターは、法による紛争解決を目的とした独立行政法人です。所管は消費者庁。電話の受付は、消費生活センターを補完するものという位置づけです。
このことからも、まずは消費生活センターに連絡するのがよいようです。
相談先を知りたい時は、ここに電話しましょう。
→消費者ホットライン:188番
消費生活センターの電話番号を調べなくても、勝手に最寄りの市区町村の消費生活センターや市区町村の消費生活相談窓口につながります。
これらが開所していない場合は、都道府県の消費生活センターにつながります。これらが話し中や開所していない場合で、国民生活センターが受付中の時間なら、国民生活センターにつながります。
全部ダメな場合でも、相談窓口の電話番号と受付時間を音声案内してくれます。
以上、和田がお答えしました!
このページに掲載するかどうかはお約束できませんが、お問合せには必ずお返事しております。
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