サイディングを塗り直したら、
質感が安っぽくなりませんか?
公開日: 2020年02月28日 / 更新日: 2025年08月04日
最近のサイディングボードは本物かと見まごうような立体感や質感があってオシャレですね。ベタ塗りしたら損なわれてしまう……。確かにそうなのです。そんな時はこれ!


クリア塗装をするか、できない場合は、
二色塗りで立体感を出す方法があります。
質感のあるサイディングボードが最近は人気。
特に窯業系サイディングには凝ったデザインが多く、印刷で本物の石やレンガのような質感が施されています。
これを単色のペンキで塗り直しすると、せっかくのデザインが消えて平板な印象になってしまいます。たとえば、こんな感じです。
デザインによっては、違和感がないことも多いのですが、目地とタイルが明確に色分けされているものや、複数の色が細かく印刷されているサイディングだと、やっぱりもったいないかもしれません。
これを避けるには、次の二つの方法があります。
サイディング外壁には塗装が必要
現在の日本の戸建て住宅で、最も広く普及している外壁材が「サイディング」です。
これは、工場で生産された板状の外壁材(サイディングボード)を、現場で一枚一枚貼り合わせて仕上げる工法です。
しかし、このサイディングボード、特に主流である窯業系サイディングは、素材そのものには防水性がほとんどありません。
その防水性能を担っているのが、表面に施された「塗装(塗膜)」なのです。
この塗膜が、雨水や紫外線から、サイディングボード本体と、お住まい全体を守ってくれています。
つまり、サイディング外壁にとって、塗装は単なる「化粧」ではなく、建物を保護するための、非常に重要な「防水コーティング」の役割を果たしているのです。
塗り直しのタイミング
サイディング外壁の塗装は、一般的に「10年」が、一つの塗り替えの目安とされています。
これは、新築時に使用されることの多い塗料の耐用年数が、おおむね10年前後であることや、ボードの継ぎ目を埋めている「シーリング(コーキング)」材の寿命が、約10年で尽きてしまうことが、主な理由です。
ただし、これはあくまで目安であり、本当の塗り替えのタイミングは、ご自宅の外壁に現れる「劣化のサイン」で判断することが重要です。
例えば、外壁を手で触ると白い粉が付く「チョーキング現象」や、シーリングのひび割れ、塗膜の剥がれといった症状が見られたら、それは外壁がメンテナンスを必要としている、明確なサインです。
年数だけに囚われず、ご自宅の状態をこまめにチェックしましょう。
参考記事:サイディングに外壁塗装は不要?塗装タイミングと塗り替え周期は?
サイディングの種類と状態が合えば、クリア塗装ができる
塗り直しの際に使う塗料は、色のペンキだけではありません。クリア塗装をすることもできます。透明の塗料なので、元々のデザインを潰しません。
ただし、これをするには条件があります。
- 1 劣化が少ないこと
- 2 汚れが少ないこと
- 3 特殊な防汚加工がされていないこと
まず、劣化が少ないというのは、「チョーキング(手でなでてみて塗料が粉を吹いている状態)する前段階」を指します。既にチョーキングしている場合は、クリア塗装ではなく通常のペンキをおすすめします。
また、傷や汚れが目立たないこともクリア塗装の条件のひとつ。
塗装前は高圧洗浄機で洗浄しますが、カビ、ツタの根、鳥の糞、通風口下の煤といった着色は、落としきれないことが多いです。
クリア塗装では、これらがそのまま見えてしまいます。外壁塗装は見た目のリニューアルも大きな効果の一つなので、サイディングの元々のデザインを取るか汚れを隠すか判断が分かれるところです。
三つ目の特殊な防汚加工とは、光触媒、無機系ハイブリッド塗料、フッ素系塗料などのこと。
これらは、汚れが付着しにくい加工なのですが、汚れだけでなく塗料も付着しにくいという厄介な性質があります。
普通の塗料では、早晩ペリペリ剥がれてしまって意味がありません。
こういったサイディングの場合は、塗料も特殊なものを使う必要があるので、通常のクリア塗装ができません。
防汚加工されているかどうかは、チョーキングの有無で判断できます。築10年以上でチョーキングがない場合は、防汚加工されている可能性が高いです。
クリア塗装ができない場合は、二色塗りの工法があります
喜多建設では「マーク2工法」が可能です。
これは、目地とタイルの色を塗り分け、サイディングのデコボコした質感を生かす塗装方法です。
まず、下塗り、中塗り、上塗りと3回に分けて1色目を塗装します。
凹凸のあるサイディングは塗り漏らしがないよう、特に気をつかいますよ。
下塗りが乾いたら、色の異なるペンキで上塗りします。
このとき、細めのローラーを使ってペンキを少量ずつ取り、軽くなでつけて色を付けていきます。こうすることで目地とタイルの塗り分けができます。
離れてみると、これでしっかりレンガ調が表現できます。
色はお客様のお好みにできますし、イメージ通りになるよう綿密に打ち合わせをしますのでご安心ください。
以上です!喜多建設の平林がお答えしました!
サイディング外壁の塗り直しの流れ
外壁塗装は、ただ色を塗るだけの単純な作業ではありません。
建物を長期にわたって保護するため、いくつもの重要な工程を経て、丁寧に行われます。
まず、工事の安全と、作業の品質を確保するため、建物の周りに「足場」を設置し、塗料の飛散を防ぐためのメッシュシートで覆います。
次に、長年の汚れや古い塗膜を、高圧洗浄機で徹底的に洗い流します。
この洗浄作業が、新しい塗料の密着性を高めるための、重要な下準備となります。
その後、塗料が付着してはいけない窓やドアなどを、ビニールで覆う「養生」を行い、ひび割れやシーリングの補修といった「下地処理」を施します。
そして、いよいよ塗装工程です。
下塗り、中塗り、上塗りと、合計3回の重ね塗りを行うのが基本です。
この3回塗りが、塗料の性能を最大限に引き出し、長持ちする塗膜を形成するのです。
最後に、養生や足場を撤去し、清掃を行って、全ての工事が完了となります。
サイディング外壁の塗り直しの費用相場
サイディング外壁の塗り替えにかかる費用は、家の大きさ(塗装面積)や、使用する塗料のグレード、そして外壁の劣化状況によって大きく変動しますが、一般的な30坪程度の戸建て住宅の場合、総額で80万円から150万円程度が、一つの目安となります。
この総額には、主に、足場の設置・解体費用が約20%、高圧洗浄や下地処理などの費用が約20%、そして、塗料の材料費と、職人の施工費を合わせた塗装費用が約60%、といった内訳で構成されています。
費用の変動に最も大きく影響するのが、使用する「塗料のグレード」です。
例えば、比較的安価なシリコン塗料と、耐用年数が長い高価なフッ素塗料や無機塗料とでは、塗料代だけで20万円以上の価格差が生まれることもあります。
ご自身の予算と、求める耐久性のバランスを考えて、塗料を選ぶことが重要です。
サイディング外壁の塗り直しを安く抑えるコツ
決して安くはない外壁塗装。少しでも費用を抑えるためには、いくつかのコツがあります。
ただし、安さだけを追求すると、品質の低下に繋がるリスクもあるため、注意が必要です。
安い塗料を選ぶ
塗装費用を抑える最も直接的な方法は、安価な塗料を選ぶことです。
一般的に、アクリル塗料やウレタン塗料は、シリコン塗料やフッ素塗料に比べて、材料費が安く、初期費用を抑えることができます。
しかし、ここで注意したいのが「耐用年数」です。
安価な塗料は、耐用年数が5年~10年程度と短く、高耐久な塗料に比べて、次の塗り替え時期が早く訪れます。
目先の費用は安くても、長期的な視点で見ると、塗り替えの回数が増え、結果的にトータルのメンテナンスコストが割高になってしまう可能性がある、という点を理解しておく必要があります。
外壁と屋根の塗装を同時に行う
これは、非常に賢く、そして合理的なコスト削減方法です。
外壁塗装を行う際、費用の約20%を占めるのが「足場代」です。
屋根の塗装を行う際にも、この足場は絶対に必要になります。
もし、外壁と屋根を別々のタイミングで塗装すると、その都度、足場の設置・解体費用が、二重にかかってしまいます。
そこで、外壁と屋根の劣化のタイミングを合わせ、一度に塗装工事を行えば、この足場代を一度で済ませることができるのです。
これにより、トータルで15万円~25万円程度の、大きなコスト削減が期待できます。
参考記事:外壁塗装しないとどうなる?劣化症状を放置するリスクについて徹底解説!
自分で外壁を塗装する
DIYで塗装を行えば、職人の人件費がかからないため、費用を劇的に抑えることができます。
しかし、これは、プロの視点からは、全くおすすめできない選択肢です。
高所での作業には、常に転落という、命に関わる重大な事故のリスクが伴います。
また、適切な下地処理や、均一な厚みでの塗装には、専門的な知識と熟練の技術が必要です。
素人作業では、必ずと言っていいほど塗りムラが発生し、仕上がりの美観を損なうだけでなく、数年で塗膜が剥がれてくるなど、建物の保護という、塗装本来の役割を果たすことができません。
結果的に、すぐに専門業者によるやり直しが必要となり、かえって高くついてしまうケースがほとんどです。
サイディング外壁の塗り直しを行う際の注意点
サイディング外壁の塗装を成功させ、後悔しないために、必ず押さえておくべき重要な注意点があります。
それは、外壁の目地にある「シーリング(コーキング)」のメンテナンスを、絶対に軽視しないということです。
このシーリングは、サイディングボードの隙間を埋め、雨水の侵入を防ぐ、防水の生命線です。
しかし、その寿命は、塗装よりも短く、10年前後でひび割れや肉痩せといった劣化が始まります。
いくら外壁面をきれいに塗装しても、このシーリングが劣化したままでは、その隙間から雨水が侵入し、雨漏りを引き起こし、建物の内部を腐らせてしまいます。
サイディングの塗装を行う際には、必ず、このシーリングの「打ち替え」や「増し打ち」といった補修工事を、同時に行うことが絶対条件です。
見積もりを確認する際には、シーリング工事の項目が、きちんと含まれているかを、必ず確認してください。
美観だけでなく耐久性にも着目しよう
今回は、日本の住宅で最も普及しているサイディング外壁の塗装について、その必要性から、費用、そして安っぽく見せないための考え方まで、詳しく解説しました。
デザイン性の高いサイディングの意匠を、一色で塗りつぶしてしまうことに、抵抗を感じるお気持ちは、非常によく分かります。
しかし、塗装の最も重要な目的は、美観の回復だけでなく、紫外線や雨水から、大切な住まいそのものを守ることにあるのです。
そして、現代の塗装技術には、既存のデザインを活かす「クリア塗装」や、より立体感と高級感を演出する「二色塗り(ダブルトーン)」といった、多彩な選択肢があります。
大切なのは、ご自宅のサイディングの劣化状況を、プロの目で正しく診断してもらい、その状態と、ご自身の理想のデザイン、そして予算のバランスを考慮しながら、最適な工法を選択することです。
監修者
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喜多 史仁
株式会社喜多建設 代表取締役社長
<略歴>
高等学校を卒業後に、2代目有限会社喜多塗装店(株式会社喜多建設の前身)に塗装見習いとして入社。その後、大手自動車メーカー子会社を経験し、2000年に3代目有限会社喜多コーポレーションに職長及び取締役として入社。
2007年に社名を株式会社喜多建設に変更を機に代表取締役に就任。
埼玉県狭山市・川越市・所沢市を中心に地域に密着した外壁塗装を強みとしています。<喜多建設のこだわり>
喜多建設では、不安や疑問を持った状態で外壁塗装をすることがないようにお客様への丁寧なご説明をモットーとしております。
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